小料理屋さつきの天井裏

「小料理屋さつき」では扱わない小ネタとかmixiからの転載等。

遠い昔、美文の織り手。

 個人特定を避ける為ちょっとボカして書きます。
 
 自分が学生時代、地毛が黒系の髪ではない学生さんがいました。自分も「あらまあ。さておき綺麗だなあ。遺伝かな?」とか思っていました。他の生徒も同じように感じていたのかも知れません。
 自分が卒業間近な頃、文集にその学生さんが自身の髪の事について寄稿しました。
 美文。読みやすく美しい文章。内容については、髪の色は遺伝ではなく突然変異的なものである事等しか覚えていないのですが、「ああ、完敗だ。自分にはここまでは書けない」そう思ったほどに素晴らしい文章でした。
 萎縮するのではなく、自らの髪に関する様々な事を、糸を紡ぎ、染め上げ、糸車に掛け、機織りしていくように、落ち着いて織り上げた文章。
 小論文やレポートのような淡々としたものでもなく、かといってラフでもない。エッセイではなく随筆という感じだったような。
 残念ながらその文集はなくしてしまい手元にありません。切り取って日記帳に貼っておけば良かったと思います。 
 
 今、その方はどうされているかは分かりません。文筆業をされているのでしょうか。それとも自分のようにblog等に少々書く程度で、ごくごく平凡な日々を送ってらっしゃるのでしょうか。
 もしかすると自分が知らないだけで、ヒット作を出してらっしゃるのかも?
 自分の我が儘でしかありませんが、そうあって欲しいと、出来ればその方の「美しい織物」をもっと見る事ができたらと願うのです。