小料理屋さつきの天井裏

「小料理屋さつき」では扱わない小ネタとかmixiからの転載等。

変想

無題

春。空の高みで鳴く鳥を探して走っていたら道を踏み外した。夏。足元に目を落とすと短いがとても濃い影が落ちている。秋。徐々に光を失う琥珀色の夕日に背を向けるとひょろりとした力なき巨人が仰向けに横たわっている。冬。牡丹雪の中傘を閉じて歩く自分自…

今は

幸せは春のように いいえ いいえ 残雪をあっというまに溶かす春の残酷さよ 幸せを求めて山を越えていきたい いいえ いいえ もう自分の足はなえてしまっているから 自分の掌には 灰さえ残っていない 情け容赦ない 時の風の強さの前には為す術も無く 消えた蝋…

尾形光琳 紅白梅図

年を重ねた関節のような幹 それでも毎年梅は咲く 年経てもかわらぬ心という枝の先に 二本の間を流れる川は かつての思い出か もうあの頃に戻れない現実か 咲けども香りは 川が呼ぶ風が散らしてしまう 時は残酷で いつしか川は昏く 幹は影をまとい それでも毎…

無題

ノイズ。 物事はたまに「ハァイ!」という挨拶をしてから訪れる事もあるけれど、スワッティング時のように御挨拶抜きで扉を蹴破りいきなりごついブーツと銃口で襲いかかってくる。 OMGで済むならいいけれど、大抵は心身へ傷を残していく。酷ければPTSD、そう…

生と死

もっと生きていたかった。 ゲームをしたりネットで色々見たり、映画やアニメだって見たかった。 本ももっと読みたかった。 目が光を捕らえなくなった。その後言葉を発することができなくなって、耳が聞こえなくなり、音もわからなくなった。 死が近づいてい…

終活万博(あくまで個人的妄想)

誰しも死を逃れることはできない。 かつては「姥捨て山」という考えがあったが、子供世帯と縁が薄くなった現在、誰が死という山に自分を捨ててくれるのか。ならば自分で死という山へ登って行くしかないのではないだろうか。 そして、死の山にはどのようなも…

異世界に行ってもニートだった件。<序-1>

いつものように、小言がたっぷり載った晩飯を急いで食べ、籠城場所たる自室へ戻った。 「トントントンとうまく行くわきゃないんだよ、クソ」 スリープにしていたPCを戻し巡回の続きをする。時々スマホゲ。 「ここにいる難民救助の方が先だろよ」 難民。俺た…

右翼ホテル

「私が何言ったって、貴方は行かれるンでしょうし」キヌ子は二口ばかりしか吸ってない煙草を硝子の灰皿にギシギシと潰した「どうぞどうぞ。どうなったって、知らないンだから」 「面倒をかけてすまなかった」 僕はそれだけ言って立ち去ろうとした。 「お待ち…

2013-06-15:無題

「ジャンキーも金持ちも脳が腐るのは変わりゃしねえさ」 「金がなきゃ、生きていけないよ」 そしたら、彼女が100ドル札をヒラヒラさせた。 「こいつを見てみな。世の中流れてるこいつの大半にコカインがついてやがるんだぜ? ジャンキーはバカやって金稼…

2013-03-31:無題

「あいつはねえ、弁護士で殺し屋だった。殺し屋で弁護士だったかも知らねえ。銃を構えて携帯電話(セルフォン)を差し出すのさ。弁護士を呼ぶならここに居るよと」 「目の前にいるなら電話は要らないじゃないか」 「いやさ、自分で警察を呼んで裁判で全部ゲ…