小料理屋さつきの天井裏

「小料理屋さつき」では扱わない小ネタとかmixiからの転載等。

高齢者ドライバー問題について個人的に思うこと

 自分の郷里は人口20万ほどのよくある市。車が無ければ生活する事が「出来ない」訳ではありませんが、「非常に面倒」です。
 夜に、「高齢ドライバーが事故を起こしているけれど車が無いと生活できない高齢者もいるということ - ネットの海の渚にて

dobonkai.hatenablog.com

 というページを拝見しました。
 そして、はてなブックマークをササッと見ますと、やれとっとと引っ越せだの、タクシーを使え、通販にしろとか…… 地方出身者で50歳前の自分には「そんな事、地方のお年寄りの殆どが無理って言うと思う」というコメントなどがありました。
 
 「自分が行きたい時にサッと行ってサッと帰りたいんだ」というのが高齢者ドライバーの多くが思っていらっしゃる事ではないでしょうか。若い時から車に乗って好きな時に出かける事が「当たり前」の生活を営んできたから、高齢者と呼ばれる年齢になってもその習慣は変わらないのではと自分は考えます。身体は老化しても、基本的な考えが変わることはあまりないのではと自分を振り返って思うのです。
 
 人はある日突然老化するのではありません。徐々に徐々に老化していってると個人的に思います。48歳の自分。老眼が酷くなったり、物事に対しての好奇心が薄れてきたり、血圧や血糖値にびくびくしたり……そうやって少しずつ歳を重ねていっています。ただ、自分がそう感じるのは、こころの病気で不安を感じやすいせいだからなのかも知れません。
 50歳付近の方の大半は、日々の暮らしの中で「ちょっと疲れやすくなったかな」「目の疲れが取れにくい、ものが見にくい」など感じるだけで、老化というものについてあまり意識してないと思うのです。

 でもそれが50を過ぎ、60になり、70近くなったら? 自分の母は70近くでC型肝炎からの肝癌で亡くなりましたが、病状がひどくなる晩年までは、歩いてあちこちへ買い物へ行ったり、旅行にも行ったりしていました。母は免許はもっていないので自分か友達の車に同乗か、バスをつかっていましたが。


 母に「肝性脳症」という症状がでたことがあります。詳しいことはググって頂くとして、ぶっちゃけ痴呆のような症状がでます。とりあえずなだめて寝かせたあと、目覚めた母がさめざめと泣くのです。よくわからないがアヤフヤな事を起こしてしまったこと、C型肝炎が着実に酷くなっていること、老化や死への恐怖、そういうものが一気に出て、めったに弱音を吐くことがない母を動揺させ、号泣たらしめたのです。

 もし、母にそういう症状が顕著に出ず、ゆるやかに病状が進んで行くだけだったとしたら……? 母は晩年入院するまでまめまめしく家を保っていたのではと思うのです。
 
 両親の話をすると長くなって……すみません。
 つまり、「自動車を運転する」という行為は、若い頃から運転してきた高齢者にとっては、料理をしたり、掃除をしたりするのと同じように、日常の作業と変わらないというレベルの作業なのではと個人的に思うのです。
 自宅ガレージにうまく駐車できずに「ガリッ!」とやってしまうことが多くなった……というような「目に見える運転能力低下」があったとしても「なあに、疲れてただけだ」「急いでしまった」とかでごまかしてしまうのではと。本来、そういう能力低下事例を自己認識することが、高齢者ドライバーに「免許返納」を考えさせるきっかけになるのではと個人的に思うのですが。
 だけれど、そうやって「まだまだ大丈夫」と思って高齢者ドライバーは今日も運転をするのだろうと思うのです。

 そうそう。「タクシーを使え」という話がありますが……個人的には、タクシーを使うのは贅沢と考える方は少なくないと自分は思っています。
 自分は、居所から電車を2回ほど乗り換えて精神科へ通っています。一度、書類を当日中に届けなければならない為に片道使いましたが、3000円近くしました。3000円あれば、何食食べる事ができるか! 服を買い換えることもできるし! とか頭をよぎります。それに、通院だけでなく、買い物や役所等への用事など、リタイアメントした後の生活でも運転して出かける機会は多いと個人的に感じます。そうなると、月の出費だけで数万いってしまうのではないでしょうか。軽自動車を維持する方が安く付くような気がしないでもないです。
 
 また、不便な所から市内でバスなど便が良いところへ集団転居をというはてブコメントも見ましたが……「ご先祖様の土地を守る」という精神はまだまだ強いと個人的に思います。
 都市部の一部では、郊外のニュータウンの戸建てから、中心部に近い駅近の物件へ転居する高齢者が出てきているという記事がありましたが、先祖代々の土地に住んでいる方はそういう選択をすることはよほどの事がない限り難しいのではと個人的に思います。
 そもそも、例えご先祖様からの土地とはいえ、査定は二束三文にしかならないのが現実です。世代問わず経済的に苦しい人達が多い時代です。子供に頼ることも難しいケースが多いでしょう。国や自治体が大がかりな援助をしない限り、限界集落も含め、不便な場所から転居することは高齢者にとっては「金の雨でも降ってこない限り無理」な話だと個人的に思います。

 

 高齢者ドライバーの問題は、地方の交通事情の問題、高齢者福祉の問題もつながっていると思います。
 高齢者ドライバーの事故を減らすには、高齢者が運転しなくても生活出来る社会システムを作る他ないのかなと個人的に思いますが、国や自治体が各地にケア施設のようなものをもっと建てない限り、そしてその利用料が高齢者にとって「支払える額」にしないかぎり難しいものだと個人的に思います。