小料理屋さつきの天井裏

「小料理屋さつき」では扱わない小ネタとかmixiからの転載等。

短句:花や草や木や:2012年04月19日

 桜は遠くから楽しむものと
 河川敷に座り、目を落とせば
 しらぬ草たちがひしめきあっている。
 踏まれても踏まれても
 名をとわれなくとも
 彼らはしっかり、息づいている。

 小さな稲荷社への道を覆う青竹よ
 見えぬ風さえとらえて歌う。
 山の実りと田畑の実りを祈り
 社を後にする自分を見送るように
 青竹は柔らかく踊る。

 黄金の姿に見とれて
 足下をおろそかにするなと
 銀杏は笑う。
 肩におちた欠片を払って
 おっかなびっくり、道を歩く。

 雪吊りのない松の寂しい事よ。
 そんな自分の悲しみを感じて
 ぽたり、椿が花を落とす。